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インドB2Bブランディングトレンド|インド人B2Bマーケターは、ブランディング予算拡大に前向き​

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ビジネス特化型SNS LinkedInが発表した調査によると、インドのB2Bマーケターはクリエイティビティと信頼こそが、ブランドの成長につながると回答しています。

ChatGPTをはじめとするAIの興隆で、私たちの生活は日々急速に簡略化し効率化されています。デジタル施策においてもAIの活用は注目され、人間の介在の必要性を問われることさえありますが、AIでは作り得ない独自性のあるストーリーテリングが今求められています。

ここでは、インド人マーケターがブランディング、マーケティングに対してどのような姿勢で取り組んでいるのか、そしてB2Bブランディングで求められる最新トレンドをご紹介します。

インドB2Bマーケターは、なぜブランディング予算を拡大したいのか

事業運営において、予算の確保は多くのビジネスマンが直面する課題です。インドのB2Bマーケターも例外ではなく、彼らの約3分の2が予算削減を経験しています(LinkedIn調査結果)。

一方で、その94%が今後6ヶ月間のブランディング活動をさらに強化していくと答えています。厳しい環境の中、インドのB2Bマーケターたちは、ブランディングの重要性を認識し、社内への啓蒙活動に尽力しています。

インドのB2Bマーケターが予算削減に直面しながらも、ブランディング強化を推し進める理由は次の通りです。

  • 強いブランドは長期的な売上につながるため(67%)

  • ブランドが購買層にとってトップオブマインドであり続けることができるため(63%)

  • 人材の獲得に役立つため(44%)

※トップオブマインド:第一想起。検討段階において、ターゲットオーディエンスに最初に思い浮かべてもらえること

市場と社内に対して地道なブランディング活動を行うことで得られる長期的なベネフィットを、インドのB2Bマーケターたちは理解しています。ブランドは、ブランドアイデンティティを一貫したストーリーで投げかけ続け、購買層が選定段階において、一番に思い浮かべてもらえるブランド(トップオブマインド)へと育てることを目指しています。

例えば、インドでカミソリが欲しいと思った時に思い浮かべるブランドはどこでしょうか?インドであれば「Gilette」や「Gilette Venus」などが思い浮かぶでしょう。このように、なにか製品が必要だと思った時に一番に思い出してもらえるブランドポジションであることが、売上の拡大に大きく貢献していきます。

LinkedIn Marketing SolutionsのディレクターであるSachin Sharmaは、以下のようにコメントしています。

「世界的に不透明な状況の中、インドのB2Bマーケターのポジティブな姿勢には勇気づけられます。広告費を抑えることは費用対効果に優れていると思われるかもしれませんが、鋭いマーケターは、マーケティング活動を継続しなければ、ブランドにとって回復への道のりは厳しいものになることを知っています。B2Bマーケターは、顧客に価値をもたらし、ブランドの想起や記憶力を高めることができる、創造的で目的志向のソリューションを必要としているのです。」

インドB2Bブランディングにおけるトレンド

誰もがオンラインで情報にリーチできるようになった現代、小手先のパフォーマンスだけでは顧客は満足しなくなってきています。経済成長とD2Cブランドの急増によってブランドの競争性が高まるインドにおいても同じことが起きています。

過度で的外れなブランディングは、その真実味のなさを見抜かれ、打ち手重視のマーケティングでは届けたい顧客に商品を届けられなくなってきました。グローバル基準のブランド体験をしているデジタル・ネイティブが多く存在するインドにおいても、ブランド価値の体験や、ブランドに対する共感・好意が購買意思決定の要因の一部となっています。

自社のブランドポジションを理解することだけでなく、ブランドのターゲットオーディエンスとなる人々が、どのような時代を生き、どのような心理的傾向と購買傾向を持つのかを理解することで、ブランディングのイメージが見えてきます。

ここからは、インドのB2Bのブランド構築やマーケティング領域においてとるべき姿勢、マインドセットのトレンドをご紹介します。

製品USPよりも、誰になぜ届けるのかをいう問いを大切に

「日本品質」を強みに謳うだけでは、インドのオーディエンスは振り向いてくれないことは、インドへ進出している多くの日本ブランドがすでに直面している課題です。実は、この課題は日系企業に限らず、インドの企業も同じです。インド市場は、外国人のみならずインド人にとっても容易ではありません。

製品の強みや独自性(USP)だけを伝えるだけでは効果がないということを理解しているインド人マーケターは、提供するサービスがどのようにステークホルダーや顧客に影響するのかという視点を持ってブランディング活動を行っています。

さらに、パンデミックを経てインド消費者の購買価値は大きく変化しました。オーディエンスは、ブランドのパーパス(目的)や、そのブランドと関わることで一貫したブランドの姿勢や在り方を体験すること、またブランドを使用することで環境に与える影響についてを購買プロセスの中で重視するようになっています。

※インドの購買層の価値変容については、「インドD2Cヘルステックブランド | デジタルマーケティング事例3選」の記事でご紹介しています。

B2Bではなく、B2H(Business to Human)へ

STORYTELLINGでも、インドでサービスを展開するブランドを支援させていただく中で、B2Bビジネスにブランディングは重要なのか、というご質問をいただくことがあります。

答えはイエス。B2Bビジネスでもその理論は同様です。サービスの良さをテクニカルに伝える製品などの実利価値に加え、感情に訴えるような人間的なタッチや、企業の社会に対する姿勢への関心が高まっています。特に、ここインドでは対会社だけでなく、意思決定者の心を動かすことがビジネスを拡大する上で、重要なプロセスです。

インドのB2B企業は、この事実を認識し、ブランドの育成のためには単純な製品説明だけではなく、感情を揺さぶるストーリーテリングも実施しています。生活や社会に寄り添い、祝祭日をお祝いするコンテンツや、ミームマーケティングなど、日常を切り取ったコンテンツにも投資しています。

※インドのミームマーケティングトレンドについては 「インドトレンド | 2023年はじめにSNSを盛り上げたのはBlinkit とZomatoのミームマーケティング」でご紹介しています。

ブランドのビジョンと目的をステークホルダーへ共有

B2Bビジネスは、そのバリューチェーンに大きく依存しており、ビジョン実現のために多くのステークホルダーを抱えています。ユーザーとベンダーという厳格な取引関係においては、業界におけるブランドの地位を強化するためのエコシステムの構築はできません。

ステークホルダーを上下関係の一部と認識するのではなく、共にビジョンの実現に向けてあゆみを進める仲間として迎え入れることで、結果的に確固としたブランドポジショニングを獲得することに繋がります。

常に最新の機能をウォッチし、より良いブランドであり続ける

AIの普及により私たちの生活は急速に革新的なものに変化しています。日々開発が進むツールは、より良いサービスを提供するために世界の技術者の研究により生まれています。インドの成長企業からは、効果的な使い方を独自に研究し、自社のサービスに取り込み、より良いブランドへ成長しようという積極的な姿勢を感じます。

さらに、現代のオーディエンスはサービスの性能だけでなく、相互作用するアイテムを求めています。あらゆる製品がインターネットに接続され、顧客の行動は追跡が可能になりました。顧客にとって、購買決定までの情報収集が容易になったと同時に、ブランド側も顧客のビジネスや行動を分析し、質の高いアプローチを提供しています。

変化速度の速いインドのIT領域へ目を光らせ、常により良いサービスを提供し続けようとする姿勢が求められています。

目的主導のパートナーシップ構築で、ビジネスを成長させる

顧客のニーズに答えるだけの関係性から、自社の目的を実現させる目的主導の取引へとトレンドは変化してきています。オンラインサービスの普及により、属人的になりがちだった営業活動や営業ステータスはMAやCRMなどで管理ができるようになり、ターゲットオーディエンスの分析からサービスへの最適化までのサイクルスピードを促進しました。B2Bビジネスでは、このような戦略の最適化により、アップセルやクロスセルを実現し、サービスの幅が拡大しています。

目的の共有によって、顧客はブランドのオファーに対して寛容になり、ビジネス規模の拡大に対してポジティブになりやすくなりました。このようなアプローチは、ビジネスに大きなインパクトを与え、組織のESG(環境、社会、ガバナンス)に有用に働きかけます。

サマリー

インドの消費者行動は、表層的な情報には流されず、より複雑なものに変化しています。ブランドがどのような目的でサービスを展開し、社会的インパクトを与えようとしているのかというストーリーに、オーディエンスだけでなく企業も共感し好意を示しています。

特に、B2Bビジネスでは複雑な商品USPやサービス内容をターゲットオーディエンスに届けるために説明的なアプローチになってしまう傾向があります。インドのB2Bマーケターたちが言うように、意思決定者のペルソナを思い浮かべたコミュニケーションが大切です。

誰でも簡単に検索し、情報を得られるようになったからこそ、ブランド側も自社のブランドと丁寧に向き合い、数あるブランドの中から選ばれるようなクリエイティビティと信頼が求められています。

2019年、獨協大学経済学部卒業。在学中、チュラロンコン大学に一年間留学しタイ語を習得。タイの動画制作会社と農業ベンチャーでインターンシップを経て、株式会社日本農業に入社。海外営業部に所属し、駐在中は事務所の立ち上げ、営業・マーケティングを担当。2022年1月からインドに移住し、同年6月にSTORYTELLING LLPにGMとして入社。日本語、タイ語、英語話者。

 

 

2019年に設立されたStorytelling LLPは、インドグルガオンを本社に置く日系企業です。企業様のビジネスにおける強みを理解し、それぞれのユニークなストーリーを世に送り出すことをミッションとしています。現地における市場調査をもとに、カスタマイズされたデジタルブランディング、デジタルマーケティング戦略を通じて、企業の持続的な成長を支援します。
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