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ビジネスでもSNSが欠かせなくなっているインドですが、その背景に、リープフロッグによるモバイルファースト社会であることが挙げられます。
モバイルは縦スクロールの世界であり、これに適したSNSのフィードの構造は、ユーザーにとって使いやすく最適であることが理由の一つとして挙げられるでしょう。
B2Bマーケティングでも、SNSの活用は無視できません。日本ではまだあまり馴染みのないLinkedInですが、アメリカやヨーロッパでは一般的なB2Bマーケティングプラットフォームです。
ここからは、ビジネス特化型SNS、LinkedInの基本情報から活用方法や機能詳細についてご紹介していきます。
LinkedInの基本情報
引用元:LinkedIn
LinkedIn とは
日本ではまだあまり馴染みのないSNS、LinkedInですが、グローバルではビジネスに関わるユーザーの情報収集、転職活動、企業の採用活動やブランディング、マーケティング等さまざまな目的で活用されるビジネス特化型SNSです。
ビジネスを通して人との繋がりを作り出すプラットフォームとして、Facebook のような役割を果たしており、ビジネスマンが記事の共有やオピニオンを共有することから NewsPicks のような情報収集の場としても役割を果たしています。
ユーザー数
世界200カ国以上にユーザーが点在し、法人ページは5,800万社以上存在しています。インドは、アメリカに次いで世界第2位の利用者数保有国(2022年7~9月時点)です。
- 全体:8億5,000万人以上
- アメリカ:1億8,100万人
- ラテンアメリカ:9,500万人
- 欧州・中東・アフリカ:2億3,700万人以上
APAC:1億7,500万人以上 - 日本:290万人以上
- インド :8,490万人
インドでは、LinkedInの個人ページそして法人ページも非常にアクティブで、日々盛んなインタラクションが生まれています。
LinkedInの特徴
ビジネスに関わるプロフェッショナルが明確な目的を持って活用
LinkedInに登録しているユーザーの多くは、ビジネス意思決定層が多く、彼らの購買力は平均的なユーザーと比較して2倍であると言われています。LinkedInユーザーの5人中4人がこの層に該当しており、適切なコミュニケーションを図ることで効率的なブランディング・マーケティング活動ができるビジネス特化型SNSであるといえます。
また、意思決定層以外でも、キャリアを伸ばしたい・新しい機会を増やしたい・専門家から学びたいという意志を持っているユーザーが半数を占めています。LinkedIn上で企業からメッセージを発信することで、質の高い採用マッチングの実現にも繋がります。転職活動にLinkedInを利用するインド人も多く、採用情報のオーガニック投稿や求人広告は日々更新されています。
マーケター評価、B2Bリード獲得向けプラットフォームNo.1
B2Bビジネスを行う多くの企業が、リード獲得のためにフィジカルの営業活動やデジタルマーケティングを行っています。LinkedInは、グローバルマーケターからB2Bリード獲得向けプラットフォームとして高い評価を受けています。
LinkedInが報告しているマーケター評価として、次の結果が報告されています。
- LinkedInにアクセスしたあとは前向きになり、目的意識が高まるユーザー2.3倍
- LinkedInの広告によって購買意欲の上昇が見られたブランド33%
- ブランド認知と新規顧客獲得向けのメッセージを両方目にしたオーディエンスのコンバージョン率6倍
- ソーシャルチャネルの中でLinkedInが最も高い成果をもたらしたと回答したB2Bマーケター82%
LinkedInに投稿されているポストの多くはビジネス情報に特化したものが多く、ユーザーのデモグラフィック特性も相まって、B2Bブランディング・マーケティングに適したプラットフォームとして活用されています
LinkedInでできること | 個人ページ
ほかのSNSと同様、個人のアカウントを作成し、フィードの閲覧ができます。企業や個人のページをフォローすることで、ビジネスや関心のあるトピックの情報収集ができ、日本で馴染みのあるNewsPicksのような使い方ができます。また、フィードやメッセージを通して同僚や取引先と繋がることで、ビジネスの機会や転職の機会を創出することもでき日系転職サイト・ビズリーチと類似のサービスを受けることも可能です。
個人ページでできる主な活動は次の4項目です。
自己紹介
- 所属企業・役職・学歴、経験、スキルなどのビジネスに関わる情報を登録、公開
つながり構築
- ビジネスのつながりの維持、拡大
同僚、上司、仕事仲間、取引先、ビジネスパートナー、先輩、後輩、教授や恩師などがアカウントを持っていた場合につながり申請が可能 - LinkedIn上で意見交換
DM機能の利用やフィードへのコメントなど
情報収集
- 最新情報のキャッチ
会社ページやニュースアカウント、知人のアカウントをフォローすることで、最新情報をフィードで確認ができる - 興味のあるトピックをフォロー
例:#marketing をフォローすることで、該当のハッシュタグが付いているポストがフィードに流れるようになる
転職活動
- 会社の検索、フォロー
会社アカウントを検索・フォローし、会社情報の収集と研究が可能 - 面接応募
企業が採用情報をジョブポストとして投稿している場合、ポストに反応することでアプライが可能
LinkedInでできること | 法人ページでのオーガニック投稿
法人ページは、自社の情報を発信するメインアカウントとして活用されています。
Facebookと同じような仕組みで自社アカウントのフィードへ、画像や動画、テキストなどを無料で投稿することができ、従業員・顧客・採用候補者などすでにブランドを知っている親しいステークホルダーに情報を発信できます。
オーガニック投稿は、ユーザーと自社のブランドの定期的接点の場となり、プラットフォーム上に自社のブランドを取り巻くコミュニティを創出する基礎となります。
採用
- 転職顕在層、潜在層の両方にリーチ
企業のVMV(ビジョン・ミッション・バリュー)情報を発信することで、確度の高い候補者の獲得にはたらきかける - 採用ブランディング
採用活動を目的とした自社のブランディングで、転職顕在層・潜在層の双方にリーチ可能
マーケティング
- 世界最大のプロフェッショナルネットワーク向けに発信
ビジネス特化型のソーシャルメディアのため、適切なターゲットオーディエンスに会社アカウントから直接届けることが可能 - プロフィールデータによる正確なターゲティング
LinkedInは正確で詳細な個人情報が登録されているのが特徴であり、広告運用のターゲティングの際に、詳細までリーチ対象者を設定できるため、高いROIが期待できる
営業
- 潜在営業先の調査
顧客となりうる企業に所属する個人アカウントに直接コンタクトを取ったり、フィードを遡ることで企業分析が可能 - 関係の構築・継続
メールだけでなく、LinkedInでつながることで、より気軽なコミュニケーションが可能 - 競合調査
競合のアカウントを分析することで、市場潮流について理解できる
育成・教育
- 150,000のEラーニングクラス
LinkedInがユーザーに提供しているさまざまな学習コンテンツの利用で、社内メンバーの育成と教育に役立つ
LinkedIn法人ページで広告を始める
法人アカウントの広告では、企業ブランド周知やサービス・商品のプロモーションのためのコンテンツを、設定したターゲットオーディエンスに届けることができます。
広告の設定では、業種・ポジション・居住地などのターゲットの詳細設定のほか、認知拡大・コンバージョン獲得・リード獲得といった、目的別の広告設定や予算別の設定が可能です。
オーディエンス
ターゲット設定したLinkedInユーザー
リーチ
広告へのエンゲージメント (リアクション・コメント・シェア) に関係なく、設定したターゲットオーディエンスにリーチが可能
費用
ターゲットオーディエンスの設定範囲によって変動する
効果測定
広告の目的別に異なる指標で効果測定がされる
全ての広告
- インプレッション:広告が表示された回数
- クリック:キャンペーンの目的に基づく有料クリック数合計
- 平均 CTR (Click Through Rate) :クリック数をインプレッション数で割ったもの
- コンバージョン:広告をクリックまたは表示したあと、ユーザーが目的のアクションを実行した合計回数
- コンバージョン率:合計コンバージョン数をクリック数で割ったもの
リード獲得広告
- リード獲得フォームへのアクセス:ユーザーがリードフォームを開いた回数
- 開封率:合計開封数を合計インプレッション数で割ったもの
- リード数:広告配信を通じて獲得したリードの数
- リードフォーム完了率:送信されたフォームを開かれたフォームで割ったもの
メッセージ広告
- 送信数:送信したメッセージの数
- 開封数:開封されたメッセージの数
- 開封率:合計開封数を合計送信数で割ったもの
- 反応率:メッセージを開いた後にアカウントやリンクをクリックした人の割合
動画広告
- 視聴数:動画が50%以上画面に表示されている時に継続的に2秒以上再生された回数
- 閲覧率:閲覧数をインプレッション数で割ったもの
- 完了数:動画が97~100%まで閲覧された回数
- 完了率:全動画の視聴完了数を全視聴数で割ったもの
LinkedIn広告の種類
LinkedInのペイド投稿(広告)は、ユーザーのフィードに表示され、マーケティングの目的にマッチしたオーディエンスからインプレッションを獲得することができます。
インドに新規参入する多くの日系企業の悩みの一つに、ターゲットが絞り込めない、という課題があります。LinkedIn広告のターゲティングでテストマーケティングを行うことで、本格参入前の市場調査も可能です。
それぞれの広告の詳細については、次回の投稿でご紹介します。
- シングル画像広告
シングル画像を使って、ニュースフィードに表示する広告を作成します。 - カルーセル画像広告
2つ以上の画像を使用してニュースフィードに表示する広告を作成します。 - 動画広告
動画を使ってニュースフィードに表示する広告を作成します。 - テキスト広告
LinkedInページの右側または上部に表示するテキスト広告を作成します。 - スポットライト広告
ユーザーのプロフィールデータを基にカスタマイズ化された広告を作成し、デスクトップ経由でオファーを促進します。 - メッセージ広告
ターゲットオーディエンスのLinkedInメッセージ受信ボックスに配信される広告を作成します。 - フォロワー広告
ユーザーのプロフィールデータを基にカスタマイズ化された広告を作成し、デスクトップ経由で会社ページをプロモートします。 - ドキュメント広告
LinkedInフィードに表示するドキュメント、スライド、またはガイドの広告を作成します。 - 会話型広告
ターゲットオーディエンスのLinkedInメッセージ受信ボックスに配信される広告を作成します。 - イベント広告
LinkedInイベントを使用して、フィードに表示する広告を作成します。 - シングル求人広告
LinkedInのシングル求人を使ってニュースフィードに表示する広告を作成します。 - 求人広告
ユーザーのプロフィールデータを基にカスタマイズ化された広告を作成し、デスクトップ経由で求人をプロモートします。 - リード獲得フォーム広告
問い合わせフォームが配置されたリード獲得に特化した広告です。 - ダイナミック広告
ユーザーのプロフィール情報に基づき、それぞれに自動的にカスタマイズされた広告です。ユーザーに合わせて、スポットライト広告・求人広告・フォロワー広告のどれかが表示されます。
サマリー
SNSマーケティングが世界的に活況な中、B2Bに特化したLinkedInは無視できない存在となっています。単にコミュニケーションツールとして用いるのではなく、有用な個人情報を適切に活用し、それぞれの企業のターゲットオーディエンスに適切なメッセージを届けることができるツールです。
特にインドでは、多くのB2B企業が毎日アクティブにLinkedInに投稿をし、ブランディングやマーケティングはもちろんのこと、採用活動やインナーブランディングでも高い効果を獲得しています。
インド市場での認知度獲得には、LinkedInは必須のSNSと言えるでしょう。
Marina Ogino
2019年、獨協大学経済学部卒業。在学中、チュラロンコン大学に一年間留学しタイ語を習得。タイの動画制作会社と農業ベンチャーでインターンシップを経て、株式会社日本農業に入社。海外営業部に所属し、駐在中は事務所の立ち上げ、営業・マーケティングを担当。2022年1月からインドに移住し、同年6月にSTORYTELLING LLPにGMとして入社。日本語、タイ語、英語話者。